2010年12月22日水曜日

第5回 エデュケーター研究会 報告

第5回 エデュケーター研究会の報告



JMMA関東支部では、エデュケーター研究会第5回を開催いたしました。

第5回は、博物館での学びについて長年研究を続けておられ、このたび翻訳出版された『博物館で学ぶ』(同成社)の翻訳メンバーでもある千葉市動物公園の並木美砂子さんによるオリジナルワークショップ、1時間の講演のあと、フリーディスカッションを行いました。



■日時:2010年12月4日(土)15時30分~(2時間程度)

■場所:千葉市動物公園 動物科学館(会議室)

■内容:(1)開会   染川香澄 JMMA関東支部担当理事
(2)講演  「子どもたちの『声』に耳をすまして」
並木美砂子氏(千葉市動物公園)

以下、並木さんより、当日のご感想を頂戴いたしましたので、掲載させていただきます。




-----------------------------------------

日頃、「動物観察」に類する来園者向けのプログラムでは、観察ツールとしてシートを用意するのですが、今回の「大人むけマウス観察」では、初めて「自由書き込み型」を用いてみました。

いつもは、足りないと事を書き足していくスケッチ型(形態観察)・エソグラムチェック型(行動カテゴリーを図で表したもの)を用いるのですが、あえて、そういう「わくぐみ」を取り払ってみて、むしろ、「いっしょに観察してみると起きること」を体験するという目的のWSでした。だから、個体情報も動物としての特徴も何もないところから始めてみたのです・・・

まったく手がかりのない動物に対峙したとき、その動物をどのように見て知ろうとするのか・・そのプロセスって?を追究することに参加者の方の手を借りた・・・というふうにも言えるかもしれません。その意味で、不親切な「自由書き込み」型の観察シートだったのでした・・・

小さな動物を対象としたのは、大きかったり離れていると30分間の追跡は困難だからです。「よく見る」ためには小さい動物(見る側が絶対的に有利・見ることに集中できる)がよいと判断したからです。



ご参加いただいた方のシートを回収させていただき、ざっと見せていただいて私が感じたこと、(詳細はぜひJMMAなどで紹介したいですが)少し述べさせていただくと・・

1)仮説をもちこみながら見ている

2)行動観察を、流れとして文章で書いている

というのは共通していました。

わたしたち動物園に長くいると、「観察」というとその観察に用いる独特のことば(ジャンルのような)にひきずられることがよくあります。たとえば、「ロコモーションはスムーズ」とか、「マーキング行動の次に必ず確認行動あり」とか、「ホッピングはまったくしない」とか・・・ そういう「行動用語」を使うことでひとつひとつをクリアにしながら動物を見ることになれすぎているのかなあとも思いました。たとえば、「木の細長い箱を横にしたらじっとして小さくなっていたのに、縦に置いたらいっしょうけんめい両足を踏ん張りながら使って登っていって、とうとう上まで登った」というように、お話しのように書いて下さっている方が多かったです。なるほどー って思いました。動物を見るっていうことやその見たことの表現って無限ですね- おもしろいです。



長くなりました・・

研究会の方は、理論紹介をもっとしてもよかったかなあと反省もありましたが、どこかできちんと「教育と学習」のはなしをする機会があることを祈りたいと思います。でも、いろんな場面で申し上げている「about it」と「throuh it」や、ポリフォニー(多声性)のことをご紹介できたのはよかったと思いました。

あらためて、このような機会をつくっていただいたことに感謝申し上げます。

0 件のコメント:

コメントを投稿